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とにかく萌えを吐き出す為に作ったので 何も萌えが無い時は失踪するかもしれません。18歳未満閲覧禁止。

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愛憎の果てに 5 壱



これで『愛憎の果てに』は終わりを迎えますが、
上記のタイトルが、ちょっとおかしいですよねwww
前に書いた、終わり方で悩んだ記事の時に
両方とも見たいとコメントをくださった方がいらっしゃいまして。
見たいと言って下さる方がいるなら、両方書いてみようと思った次第です。
本当は両方できてから、一斉にUPしようかと思いましたが、
それだと、いつUPできるか分からないので、
とりあえず先にできた方をUPしたいと思います。

このEDは死にネタありですので、苦手な方は回避してくださいね。
大丈夫ですか?本当によろしいですか?
OK!大丈夫!という方は続きからどうぞ~







 嵐が去った後のような静けさが戻った邸の中、藤田がチョコレエトの入ったカップを片手に百合子の部屋のドアをノックすると、中から微かな返事が聞こえた。
「失礼いたします」
 部屋の中に入り一礼すると、突然、駆け寄ってきた百合子に抱きつかれる。藤田は咄嗟に両手を上げて、カップの中身が百合子にかからないように気をつけた。
「藤田、さっき秀雄さんの怒鳴り声が聞こえたわ。何があったの?」
「尾崎様は私の説明では納得がいかなかったようで、どうしても姫様から直接お話を訊きたいと仰りました。ですが、姫様はお休みになられているとお伝えしたところ、また明日いらっしゃると、そう言って帰っていかれました。」
「そう……」
 その声は落胆の色が滲み、不安そうに藤田の背広に頬を寄せ、抱きついている腕に力を込めた。
「姫様……私が傍におります」
 慰めるように片手でそっと百合子の頭を撫でる。艶やかな髪の毛の1本1本が藤田の指に絡みつき、藤田はまるで自分自身が百合子に絡め取られていくかのような錯覚を覚えた。
「藤田……抱いて……」
 突然、百合子が呟いた。
「何を仰って……」
「私を抱いて、藤田。もう、何も考えたくない……」
 戸惑っている藤田に、百合子は顔を上げて訴える。身体は微かに震え、引きつった笑みを浮かべながら、藤田を映す瞳には涙が零れそうなほど溜まっていた。
「姫様……」
「お願いよ、藤田。抱いて。抱きなさい、藤田!」
百合子は、徐々に声を荒げ、藤田に縋りつく。
「姫様、落ち着いてください」
「落ち着いていられるわけないでしょう!」
 宥めようとする藤田に、金切り声を上げて怒鳴り散らすと、急に静かになり、縋りついていた手を離して、後ずさりをした。
「ふふ……お前も私を馬鹿にしているのね……。心配そうにしながら内心では、何も出来ないバカな女が自ら堕ちた、と嘲笑っているんでしょう!?」
 自嘲の笑みを張り付かせた顔に、はらはらと涙が伝い落ちる。
「姫様……」
「嫌っ」
 百合子に向けて伸ばそうとした藤田の手を、百合子が咄嗟に払い除けた拍子に、持っていたカップが絨毯の上にゴトリと落ちた。カップから流れ出たチョコレエトは血だまりのような染みを作り、甘い匂いを部屋中に漂わせる。
「お前の所為よ!お前が私に隠し事なんかしなければ、こんな事にはならなかったのよ!」
 どうすることも出来ない苛立ちが、藤田を攻撃する言葉となって口をついて出てくる。
 詰(なじ)る百合子の言葉を受けても、藤田は、ただ悲しそうに、じっと百合子を見つめていた。その相貌は凍りついたかのように動かず、人形かと思うほどだった。
「黙ってないで、なんとか言いなさいよ!」
「申し訳……ございませんでした……」
「え……」
「全て……私の責任です。姫様をここまで追い詰めてしまったのは、私の責任です。本当に……申し訳ございません」
 何か言い訳をするのだろうと思っていた百合子は、突然謝罪し始めた藤田に意表をつかれ、驚きを隠せない。しかも、その言い方は、すぐにでも屋敷を出て行くと言い出しかねない空気がそこにあった。
 全身から血の気が引いていくのが分かる。藤田が自分の傍から居なくなる。そう考えただけで、気が狂いそうだった。
「だ、駄目よ藤田。私の傍から離れるなんて許さないわ」
「姫様?」
 百合子の様子に不穏なものを感じ、藤田は凝視した。百合子の眼は藤田を捉えているようで何も見ていない。焦点の定まらない百合子を、藤田は慌てて抱きしめた。
「姫様!私は何処にも行きません。ずっと姫様の御傍におります!」
 力強く抱きしめられても、百合子の心は空虚だった。満たされない想いが藤田への猜疑心を生む。
「嘘よ……どうせ私を見捨てて出て行くんだわ……。お兄様の事だって見捨てたんですもの……私の事なんてどうなったって……」
「姫様!」
 身体の締め付けが軽くなった瞬間、温かく柔らかいもので百合子の口が塞がれる。それが藤田の唇だと理解したのは、口を割って生暖かい舌が入ってきた時だった。
「んっ、んっ……ふ、あ……」
 藤田の息が百合子の頬を撫でる。見開かれた百合子の目の前には、藤田の白い皮膚があった。
 昏い洞窟のような心に、薄くおぼろげな明かりが灯っていく。徐々に落ち着いてきた百合子は眼を瞑り、藤田の舌を味わった。
 角度を変え、何度も口づけ、身体は熱を帯びていく。百合子は細い腕を、藤田の広い背中に廻した。掌に藤田の熱が伝わる。
「ふじ……た……」
 唇を覆っていたものが離れ、冷やりとした空気を感じ、百合子は目を開けた。
「また……私は……」
 抱きしめる腕に力を込めながら、泣きそうなほど顔を歪ませる藤田がいる。
 百合子が求めれば求めるほど辛そうな顔をする藤田。斯波に抱き寄せられた時に見せたあの表情は錯覚だったのだろうか。主従の関係でなければ、藤田は辛いのだろうか……。
 ぼんやりとした頭でそんなことを考える。
「藤田、私を抱いて。これは、命令よ。お前は何も考えなくていい。ただ命令に従えばいいの」
 藤田の胸元に頬を寄せる。
 そう、命令ならそこに藤田の意思は関係ない。そうすれば藤田は楽になるのだろう。
「姫様……」
 顔を上げると、藤田はまだ辛そうな顔をしている。二人の視線が強く絡み合う。
 やがて、どちらからともなく顔を寄せ合い、唇を食んでいく。
 帯を解き、着物を滑り落とし、襦袢一枚になった百合子を優しく寝台に押し倒した。百合子の上に覆いかぶさった藤田は、襦袢の上から百合子の身体をまさぐる。
「姫様……」
 興奮しているのか、掠れた声で百合子を呼びながら、耳朶を舐め、唇で挟む。耳元に息がかかると、ぞくぞくとした快感が百合子の腰を這いあがり、下腹部が疼く。
 片手で百合子の頬を撫で、徐々に下へと降りていき、襦袢の合わせから大きな手を中に滑り込ませる。手に吸い付くような柔肌の乳房を優しくまさぐり、桜色の勃起した蕾を指先で押し潰すと、甲高い嬌声とともにビクリと百合子の身体が震えた。
「あぁっ!」
 藤田は上体を起こし、両手で襦袢の合わせを大きく広げると、白く肌理細やかな二つの乳房がまろびでた。両の乳房をやわやわと揉みしだきながら、片方の乳首に吸い付く。舌で小刻みに嬲りながら、甘噛みをし、きつく吸い上げると、百合子の身体に甘い痺れが走った。
 股を擦り合わせて、百合子が快感に耐えているのを感じ取った藤田は、ごつごつとした大きな手を、乱れた襦袢の裾に割り入れる。節くれだった手は、滑らかな百合子の内股をざらりと撫で上げた。
「は、んっ……」
 柔らかな恥毛を掻き分け、陰唇をなぞり、肉芽を軽く引っかく。
「あっ、んっ」
 百合子の腰が跳ねた。愛液が滲み出て、しっとりと潤ませていくのが分かる。藤田は指を擦りつけ、愛液に塗れさせると、ゆっくりと陰部へ埋めていった。
 太く長い藤田の指は、ずぶずぶと入っていき、肉壁を擦りあげる。百合子の肉壁は藤田の指に絡みつき、もっともっとと快感をねだる。
「あぁ、お願い……藤田……きて……」
 堪えきれなくなった百合子は、情欲に潤んだ眼を藤田に向けながら哀求した。
「姫様……」
 藤田はズボンの前を開け、下帯をずらすと、屹立した自身を取り出す。百合子の両足を抱えると、膣口にあてがい、少しずつ陰茎を挿入していった。
「あ、ああぁぁっ」
 百合子の入り口をぎちぎちと広げて入ってくる感覚に、眩暈を覚えるほど気持ちがいい。
 膣壁を擦り、最奥を穿つと百合子の毛穴が開き、全身をしっとりと汗で潤していった。
「あ、あぁっ、いいっ、はぁっ、んっ、あぁっ」
 身体を反らし、絶え間なく来る快楽の波に溺れていく。
 始めは、ゆるゆるとした動きだったが、百合子の締め付けに耐え切れなくなった藤田は、徐々に性急なものへと変えていった。
 ぐちゅくちゅと粘液が擦れ合う音が部屋に響く。その音さえも二人の熱を上げていった。
「んっ、あ、ふじ、た……中に、中に……ちょうだい……あ、あぁっ」
 そろそろ限界が近いと察した百合子は、藤田に懇願する。
「姫様……姫様……ひめ、さ、ま……くっ、あぁぁっ!」
 ぐじゅりと汚い音を出しながら、藤田は百合子の中から男根を取り出すと、白い体液を百合子の腹に散らせた。
 中に欲しいと願ったにも拘らず、外に出し、決して脱がなかった背広は、藤田の心の壁を表しているようで、百合子は切なくなった。自然と涙が目尻から零れる。
 そんな百合子の気持ちを知ってか知らずか、藤田は自分の衣服を整えると、背広の胸ポケットから手巾を取り出し、百合子の身体に散っている体液を綺麗に拭き取った。
「申し訳ありません、姫様」
「なぜ謝るの?お前は私の命令に従っただけなのに……」
 藤田は百合子の枕元に腰掛けると、目尻に光る涙を指で掬う。
「私は……私は卑怯な男です。姫様の事を……」
 そこまで言いかけて、藤田は何かに気づいたのか急に立ち上がった。
「どうしたの?」
 藤田の様子にただならぬものを感じた百合子は、不安そうな声を出した。
 ふと窓を見ると、外が明るい。まだ日が昇る時間ではないはずだ。更に何かが焦げているような臭いが鼻を衝く。
「姫様!お逃げください!早く!」
 藤田の突然の大声に、百合子は慌てて乱れた襦袢を直すと、ドアを開けた。その瞬間、熱風と共に、黒い煙が百合子を襲う。
「きゃっ、……う、ごほっ、ごほっ」
 藤田は急いでドアを閉めると、百合子に背広の上着を被せ、うずくまらせた。
「姫様、大丈夫ですか?」
「げほっ、だ、大丈夫よ。藤田は?」
「私は平気です。ですが……」
 言葉を濁す藤田の様子で、もう逃げることは出来ないのだと百合子は悟った。
「藤田、お前だけでも逃げて。お前だけなら逃げることができるかもしれないわ」
 真っ直ぐに藤田の眼を見つめながら、百合子は言った。
「姫様は、どうなさるおつもりですか」
「私は、ここでお兄様と一緒に……」
「いけません!姫様と殿様を置いて逃げるなどできません!」
「藤田……。もう楽にさせて、お願い。これ以上、生き恥を晒したくないの」
「でしたら、私もお供いたします」
「駄目よ!藤田。命令よ!逃げて!逃げなさい!」
 愛する者を逃がしたい。その一心で百合子は叫ぶ。涙を流す百合子の眼を、藤田は優しく受け止めると、静かに口を開いた。
「姫様、その命令は聞けません」
「な……ぜ……?主の命令に逆らうの?」
「姫様や殿様がいらっしゃらない世界で、私の生きる意味など、どこにありましょうか」
「藤田……。なら、最期に訊かせて。お前は私をどう思っているの?」
「……お慕いしております、姫様」
「それは主として?それとも一人の女として?」
「一人の女性として、です」
「本当?」
「えぇ、ですから……私は家令失格です。……私は……姫様を愛しています」
 泣きそうなほど顔を歪ませるでもなく、辛そうな表情でもない。今までに見せたことのないような優しい笑顔で、藤田は述懐した。
「藤田……愛してるわ……」
 目の前にある藤田の顔を両手で挟むと、慈しむようにそっと口づける。伸びかけの髭が百合子の肌を掠めた。
「……お兄様を一人にしておけないわね」
 唇を離した百合子は小さく笑う。
「そうですね、殿様のところに参りましょう。お部屋にいらっしゃいますから」
 二人は熱風の舞う廊下を抜けて、瑞人のもとへ向かった。



 男は怒りに塗れた視線を、百合子の部屋の窓へと向ける。夜だというのに男の顔は、ぼうっと明るく照らされていた。
「こんなに簡単に堕ちてしまうとは思いませんでしたよ、姫様」
 男は屋敷の周りに油を撒きながら、逃げ道のないように執拗に火をつけていく。
「やはり呪われた血は絶やさなくてはいけません。兄妹で交接するなど……異常なんですよ!」
 吐き捨てるように言い放つと、気が済むまで火をつけたのか、手に持っていた火種を投げ捨てた。
「さようなら……姫様……」
 嘲るような笑みを作ると、男は燃え盛る屋敷に背を向け、去って行った。



 部屋に入ると、瑞人は寝台に横になっていた。
 睡眠薬だろうか、茶色の小瓶が寝台脇の小さな卓子に置かれている。寝付けないために飲んだようで、瑞人はすやすやと気持ちの良さそうな寝息を立てていた。大変な事態にも関わらず、寝こけている瑞人に苦笑を洩らすと、百合子は起こさないように、そっと瑞人の隣に身体を横たえた。瑞人の手を握り、もう片方の手を藤田に伸ばす。
 藤田は百合子の傍に跪き、白い華奢な手を両手でしっかりと握った。
「怖いですか?姫様」
「お前が傍にいてくれるんだもの、平気よ」
「えぇ、ずっとお傍におります」
 二人は優しく微笑みながら、見つめあう。気持ちが通じ合った嬉しさで、百合子に怖いものなどなかった。
「なんだか眠いわ……藤田……」
 百合子は、するりと手を解くと、藤田の首に片手を廻して、自分の方へと引き寄せた。
「姫様……」
 ゆっくりと藤田の口を吸いながら、瞼を閉じる。
 藤田の柔らかな唇と舌の感触を味わい、満ち足りた想いのまま、百合子は二度と覚めない眠りについた。


――――焼け跡からは三人の遺体が発見された。その遺体は寝台に横たわった状態で発見されたが、二人の上に、まるで護るかのように大きな男が覆いかぶさっていたという……。



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