本格的に寒くなり始めて、コタツを出したいコバミロです。
夏の暑さが少しだけ恋しい……。
今日は本当に短いSSを更新しますね。
藤田のプロフィールに煙草を吸うと書いてあって
驚いた覚えがあります。
本編では出てこなかったので、どんな感じに吸うんだろうとか
百合子は知らないんだろうなとか色々考えてたら短い話が出来ました。
私にしては珍しくエロなしです(笑)
よろしければ続きから見てやってください。
拍手をくださる方、本当にありがとうございます!
私の駄文でも楽しんでいただけているのかと思うと嬉しくなります。
私の書く藤田は、MだったりSだったり女々しかったり男らしかったりと
振り幅が大きすぎますが、好きになっていただければ幸いです。
これからもよろしくお願いします。(*´ω`*)
「まただわ……。」
気づくと藤田が家の中に居ない。
最初は、ほんの些細なことだった。ピアノの生徒が帰ったあと、藤田と買い物に行こうと家中を探していたが見つからない。どこに行ったのかと心配していたときにひょっこりと戻ってきた。
どこに行っていたのかと訊いても、すぐ傍ですよなどと言ってはぐらかす。居ないのはほんの10分程度で、すぐに戻ってくるのだから大したことではないと思う。だが、百合子は一度気になったら確かめないと気が済まない性分だ。
(どこに行くのか後をつけてみよう)
明日はピアノを教える日だ。きっと生徒が帰った後、居なくなるに違いない。均さんから目を離さないようにしなくちゃ。
百合子は、まるで探偵にでもなったかのような気持ちになり、目を輝かせて胸を躍らせた。
次の日、生徒が帰った後、百合子は藤田から目を離さない様にしていた。藤田は、ピアノの蓋を閉じて楽譜をしまうと、周りを気にするふうでもなく部屋から出て行く。
玄関のところで何かを取りポケットにしまうのは見えたが、何を手にしたのか肝心なところは見えなかった。
靴を履いて家を出る。藤田の足音が少し遠ざかるのを確認すると、百合子もその後に続いた。
玄関を出ると家の角を曲がる藤田が見える。壁から少し顔を出して様子を伺うと、ちょうど家の裏で壁にもたれかかっていた。
藤田は、おもむろにポケットから何かを取り出し、口に咥えてマッチで火をつける。
(煙草だわ……)
紫煙を燻らせながらボーっと空を眺めている姿は、まるで活動写真から出てきた外国の俳優のようで、百合子は思わず見惚れていた。
「百合子……さん?」
いつの間にか立ち現れていた百合子に気づき、藤田が声をかける。
藤田に声を掛けられ、初めて自分の姿が物陰から出てしまっていることに百合子は気づいた。後をつけたということもあって、百合子は、ばつの悪そうな顔をしながら、おずおずと藤田の傍に近寄る。
「どうなさったのです?」
「あ、えっと、この頃、均さんが急に居なくなるから……気になって……。」
「後をつけていたんですか?」
藤田は優しく笑いながら、百合子の頬を片手で撫でた。
「何か面白いものはありましたか?」
「均さんが煙草を吸うのを知る事が出来たわ。いつから吸っていたの?」
「もう十年以上前からですよ。」
「じゃあ邸にいた時から?全然気づかなかったわ。」
自分の知らない藤田を見たことで、少し驚き、少しだけ面白くなかった。口調が少しだけ拗ねたものに変わる。
「まぁ、あまり頻繁には吸っていませんでしたから。それに、主に休んでいるところを見られるのは家令失格です。」
まるで教師のような言い方に、百合子はくすりと小さく笑うと、頬を撫でている藤田の手に自分の手を重ねた。
「私には隠し事なんかしないで。」
「隠していたわけではありませんよ。ただ、説明しなくてもいい事かと……。」
「急に居なくなったから心配したわ。」
「申し訳ありません。」
お詫びとばかりに百合子の額に口付けると、そっと抱き寄せる。藤田の身体から立ち昇る煙草の匂いがふっと鼻を掠め、初めて嗅ぐ藤田の匂いに百合子の胸は高鳴った。
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