2ntブログ
とにかく萌えを吐き出す為に作ったので 何も萌えが無い時は失踪するかもしれません。18歳未満閲覧禁止。

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大切なあなた



朝晩は涼しいですが、日中は暑いですね~
皆様は体調を崩したりしていませんか?私は、とりあえず大丈夫そうです。

さて、ふじゆり原稿が煮詰まっている状態で、ふとしばゆりが浮かんできました。
本命はふじゆりなんですが、何故か書きたくなってしまったので、吐き出してみましたよ。
あ、斯波さんも好きよ(*´ω`*)

本当に拙くて短いお話ですが、よろしければ続きからどうぞ~

拍手コメントのお礼は、後で書きます。すみません遅くて……(-_-;)






 虫の音も静まり返る深夜、居間で眠気覚ましの紅茶に口を付けていた百合子は、溜息を吐きながら時計を見た。
 時刻は午前二時を回っている。
 接待がある時は遅くなるから先に寝ているようにといつも斯波に言われているのだが、百合子は斯波の姿を見るまでは心配で寝てなどいられなかった。
 いつも忙しそうに各地を飛び回り、色々な所との繋がりを持つために接待などをしている。
 生活の為に一生懸命働いてくれているのだというのは分かっているが、いつ身体を壊さないか心配で居ても立っても居られない。
「純一さん、遅いわね」
 心配そうにポツリと漏らした百合子の一言に、側にいた女中が口を開いた。
「奥様、あまり遅くまで起きていらっしゃいますと身体に障ります。旦那様がお帰りになるまででも、寝台で横になられてはいかがですか?」
「ありがとう。そうさせてもらおうかしら……」
 長椅子から立ち上がろうと腰を浮かしかけた時、玄関の方から扉が開く音が聞こえる。
「ゆりこさ~ん、かえったぞ~」
 随分とご機嫌な斯波の声に、百合子は小さく微笑む。一刻も早く姿が見たくて、百合子は足早に玄関へと向かう。
「お帰りなさい、純一さん」
「ゆりこさ~ん、ただいま~」
 最愛の妻を前に、だらしなく顔を緩めて、斯波は抱きついた。
 あまりの酒臭さに百合子は一瞬眉を顰めるが、酒の臭いに混じって白粉の匂いが鼻を掠める。
 抱きつかれた拍子に百合子の目に入った斯波の首筋には、真紅の紅がべっとりとついていた。
 百合子が心配で時計を見ながら溜息を吐いていたころ、芸妓に囲まれて楽しそうにお酒を呑む斯波を想像し、百合子の心に沸々と怒りが沸いてくる。
 斯波の厚い胸板を百合子が力任せに押しやると、酒で足元が覚束ない斯波は尻餅をついた。
「純一さんの馬鹿!!私の気も知らないで!もう、知らない!!」
 目元を赤く染め、唇を噛み締めながら斯波をひと睨みすると、斯波に背を向け、百合子は足音を立てながら自室へと帰っていく。
 突然の百合子の怒りに、訳も分からず呆然としていると、側で一部始終を見ていた女中が溜息を漏らす。
「旦那様、首筋に芸妓の置き土産が付いていらっしゃいますよ」
 斯波は慌てて首筋を擦り掌を見ると、真っ赤な紅が鮮血のようにべったりとついていた。
 全身から血の気が引いていくのが分かる。先程までの楽しかった酔いは完全に冷めた。
 急いで百合子の後を追い、遠慮がちに扉をノックする。
「百合子さん、話を聞いてくれないか?」
 斯波の問いかけに返事はない。中の様子を窺うように、ゆっくりと扉を開ける。
 寝台に目をやると、肌掛けがこんもりと人型に膨らんでいた。これ以上、百合子の逆鱗に触れたくない斯波は、音を立てないようにそっと寝台の側に寄り、百合子の邪魔にならないように腰を掛ける。
「百合子さん、これには訳があるんだ」
「…………」
 頑なな背中に声をかけるが、反応は無い。
「寝てしまったのか?」
 返事が無いことに痺れを切らし、斯波は百合子の顔を覗き込もうと覆いかぶさった。
 薄目を開けて様子を窺っていた百合子の目の前に、斯波の武骨な手が下ろされ寝台が軋む。
「百合子さん」
 斯波が顔を近づけてくる気配がする。酒の臭いが濃くなり、首筋に息がかかった。
 突然、百合子が仰向けに身体を捻り、斯波の目を真っ直ぐに見据える。
「純一さん、私、怒ってるのよ」
「いや、これには訳が……」
「私が心配して帰りを待っていたのに、純一さんは芸妓と楽しくお酒を呑んでいたのよね?これにどんな訳があるのかしら?」
「仕事で、どうしても行かなくてはいけなかったんだ」
「そんなに仕事が好きなら、仕事と結婚すればよかったのよ」
 そう言い放つと、百合子は顔を背け、頬を膨らませる。
「俺は、貴女に不自由な生活などさせたくないから、こうして仕事を頑張っていられるんだ。貴女が居なくなってしまっては意味がない。仕事とはいえ貴女に心配をかけたのは悪かったと思っている。だが、仕事も大事なんだ」
 斯波の真剣な声を聞き、百合子は、ちらりと斯波を見た。
「私の事、大事?」
「もちろんだ」
「なら、明日、病院へ行って」
「?どこも悪くなんかないぞ」
「病院へ行って、ちゃんと悪いところが無いか検査してきてって言ってるの」
「いや、明日は会議が……」
「純一さん、近頃、休みなく働いているじゃないの。純一さんに何かあったらと思うと心配なの。私とこの子の為にも、お願い」
「この子?」
 斯波は何を言われたのか分かっていない様子で、百合子に聞き返す。
 百合子は小さく笑うと、頬を染めながらこくんと頷いた。
「まさか……子供が、できたのか?」
 あまりの斯波の驚き様に、百合子は不安気に、もう一度頷く。
 すると突然、斯波は百合子を強く抱きしめた。興奮しているのか、腕に込められた力は強く、百合子は苦しげに斯波の身体を叩く。
「あ、あぁ、すまない。は、はは、子供か……。俺が父親に……」
 慌てて身体を離すと、斯波は潤んだ瞳を百合子に向けた。
「だから、ちゃんと病院へ行ってね」
「もちろんだ。必ず行ってくる」
 愛おしそうに百合子の頭を撫でながら、斯波が微笑む。

――もう鬼にはならない
 そう言った時の斯波の面影が、百合子の眼前にちらついた。





追記

この最後って何かのフラグっぽくなってしまいましたが、
医者に『どこも悪いところはないですよ』ってお墨付きをもらって
『いやっほう』と喜ぶ斯波さんまで妄想しておりましたwww

本編だと忙しすぎて倒れたりしてましたからね。ホントに心配。
でも愛しい妻のために、元気で頑張ってくれるでしょう。



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